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メンバーコラム

花に想う

原 節子副代表

2015.03.9 Mon

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フラワーアレンジメントが、好きだな。
それは、ゆたかな気持ちになれるから。
雑念や固定観念、心の迷いから一時離れて、ただひたすら無の境地で
お花だけと向き合えるから。

フラワーアレンジメントが、好きだな。
それは、驚くほど素直に、その時の自分が現れて面白いから。

一説によれば、70-80%の脳細胞は手とつながっていて、
人の意思決定の90%は潜在意識の影響を受けているというけれど、
まさにブーケを束ねるときは、頭ではなく、手が勝手に動きだす、そんな感覚がある。
手の中に一つの宇宙がうまれる、直感の世界。

もちろんアレンジメントには、基本の形や様々なテクニックがある。
でも、最近はテーマだけをイメージして、花材や色を選び、
即興で自由に組み合わせていくのが、何とも楽しい。

もう一つ、花をアレンジしていて、思うことがある。
見た目の美しさはもちろん大切だけど、
このアレンジは、その奥に込められた心や、花の本質をしっかり伝えられているかなと。

花は一本一本、みんな表情が違う。
クルっと360度まわして、一番きれいにみえる角度をみつけていくのだが、
そんな花が本来持っていて、伝えたがっているものを、心を添えて
表現できているだろうかと。

「引き算の美」を実感する。
素材の持つ魅力を際だたせていくには、一度束ねたものを
引き算するステップが、実はとても大きな意味を持つ。
思い切ってそぎ落とすことで、
伝えたいことが、よりシンプルに、より強く伝えられる。

さて、フラワーアレンジメントは、
ブランド構築にも多くが通じていないだろうか。

まずは、ブランドを構成する様々な要素をしっかり見つめ、
それが何なのか、本質を探求すること。
そして、あれもこれもすべてを束ねるのではなく、
その本質にしっかりフォーカスしていくこと。

無駄がそぎ落とされ、軸がしっかりした世界は、余白をうみだし、
その余白は、人々の共感、感情移入、参加、新しい発想といった、
次なる展開のエネルギーを生み出していく。

本来、素材のもつ力をどうしたら一番引き出せるのか。

フラワーアレンジメントも、ブランド構築も、
「引き算の美」にその一つのヒントがあるように思う。